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コナラの根張り、スギの2倍超 信大北原教授ら実証 

1月1日(木)

県林業総合センター試験林で行った引き倒し試験。荷重をかけたコナラが傾いている

 身近な広葉樹の一つ、コナラの根が張る強さは針葉樹のスギの2倍以上あり、ヒノキやカラマツも上回ることが、信大農学部の北原曜(ひかる)教授(治山学)らの研究で明らかになった。広葉樹は土壌をつかむ力が強い−と一般に言われてきたが、針葉樹と比較して明確なデータで実証したのは初めて。

 「経験的に語られる森林の防災機能は科学的な根拠が薄い」(北原教授)とされ、これまでは砂防ダムなどの施設整備を補完する位置付けにとどまってきた。広葉樹の強さを示すデータを得たことで、同教授らは土石流災害を抑制する森づくりに応用できると期待。近く研究をまとめ、県や林野庁に提出する。

 試験は県林業総合センター(塩尻市)などと共同し昨年8月、同センターの試験林で実施した。地形、地質などが同じ条件下にある、樹齢22年のスギ、ヒノキ、カラマツの人工林と、自然に生えた樹齢19年のコナラ林を対象に、スギ17本、ヒノキ19本、カラマツ20本、コナラ17本を選定。1本ずつ、根元から1メートルの高さにワイヤを掛けて重機で引っ張り、木が傾くまでの荷重の変化(抵抗力)を測った。

 このデータを基に、抵抗力の最大値と直径との関係を算出したところ、コナラ、ヒノキ、カラマツ、スギの順に強い傾向が判明。直径20センチの場合、コナラが5・7トンまで耐えるのに対し、ヒノキは3・7トン、カラマツは3・2トン、スギは2・6トンという結果だった。

 また、樹木の近くを掘り、根を横に引き抜いて抵抗力を調べる別の試験でも、広葉樹が土壌をつなぎ留める力強さが分かった。直径1センチの根の場合、コナラは100キロ余で、ヒノキとスギが77キロ、カラマツは36キロ。古くから集落の傾斜地によく植えられている広葉樹のケヤキは約250キロと群を抜いていた。

 県内の森林面積100万ヘクタール余の約42%を占める人工林の多くは、手入れ不足のため、針葉樹がひょろ長く密生している。こうした木々は根の発達が弱く、大雨で崩れやすい。

 実際、2006年7月の豪雨災害では、間伐遅れのカラマツ林の斜面が崩壊、土石流が襲った岡谷市湊地区で7人の犠牲者が出た。一方、この時にも集落の上にある神社のシダレザクラなどが土砂を食い止める働きをし、被災後、周辺では住民らがコナラなど広葉樹の植樹を進めている。

 県は豪雨災害後の昨年1月、災害に強い森林づくり指針を公表。人工林の間伐を進めて根を太く強くするとともに、そこに広葉樹を交ぜる「針広混交林」や広葉樹林への誘導を提起した。

 今回実証したデータはこうした森づくりを後押しすることになりそうだ。県指針の検討委員会委員長も務めた北原教授は、土石流が発生する恐れのある斜面の直下と、土石流の流れが緩みだす地点にコナラなどの広葉樹種を重点的に植えることを提案。「(砂防ダムなどの)施設整備だけに頼らない治山を実現しうる」と話している。

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